【受取人が目上でも『拝啓』などの頭語は省いてかまいません】
『拝啓』『謹啓』などの漢字の熟語である頭語は、女性の私的な手紙には堅苦しすぎるもの。また頭語を置いた手紙は、それ以降の文章も格式ばった表現で最後まで一貫させないと不釣合いなものになります。現代の女性の私信は、目上の方に出す場合でも時候のあいさつからで十分です。そのほうがソフトな印象を与えます。またそれ以降の文章も敬語の使い方やマナーさえ気をつければ、自分なりの言葉でかまいません。ただし、頭語は省いても、結びのあいさつか結語は書きましょう。
@時候のあいさつ
女性の私的な手紙では、頭語は省いて時候のあいさつから始めます。自分が見たり、感じたりした季節感を自分の言葉で表現しましょう。「今年はいつにな梅のほころびも早いようです」とか「近くの空き地でススキを見つけました」などと、会話のように飾らずにサラリと書くのがコツです。
A安否のあいさつ
「先生には」のように、相手の名を安否のあいさつの頭に書く場合は、改行して続けます。
Bお礼・おわびのあいさつ
日ごろ何かとお世話になっていることへの感謝や、いつもご無沙汰していることのおわびを、前文に加えることもあります。
C起こしの言葉
ここから主文に入ります。改行して1行下げ「この度は」「さて」「ところで」「つきましては」「さっそくでございますが」などといった起辞を使い、これ以降が手紙の要旨であることをはっきりさせます。
D本文
私的な手紙の本文は、わかりやすく、具体的に、話し言葉のように書き進めるのがコツです。第三者の言葉などを交えながら、臨場感をもたせるのもよいでしょう。
E結びのあいさつ
私的な手紙の場合は、結びのあいさつも決まりきった文句ではなく、自分なりの言葉で書きましょう。終わりに、「くれぐれもお体をおいといくださいますように」「くれぐれもご自愛くださいますよう」といったあいさつでしめくくります。その後に、さらに改行して結語を兼ねて「まずはお礼まで」「ありがとうございました」などとまとめましょう。
F結語
形式的な手紙では、必ず頭語と結語をペアで用いますが、女性の私信では結語だけでもOKです。女性の場合は、よく『かしこ』が使われますが、これは「謹み、敬う」の意味。親しい間柄の相手なら、「さようなら」「ごきげんよう」「ではまた」を結語にしてもかまいません。
G日付
本文より小さめの文字で、2,3字下げて月日を書きます。
H署名
日付の次の行に、本文末尾より1字上あたりで終わるように差出人の署名を入れます。スペースがなければ、日付と同じ行に書いてもかまいません。
Iあて名
本文より下、日付より上から始まるように、やや大きめの字で書きます。便箋の最後の行に来そうな場合は、日付を結語か署名の行に書いてつめ、最後は1行あける。