【仕事関係や公的な手紙は旧来の形式に基づいて書くのが常識的】
手紙はおおまかにいって前文・主文・末文・後付の4つの部分から構成されます。形式的な手紙では、まず前文の一番最初に、へりくだったあいさつの頭語を置き、これに対応させて末文の最後はさようならにあたる言葉の結語で結ぶのがマナーです。こうした形式を踏まえた手紙では、時候のあいさつや安否のあいさつ、今後の愛顧を願う言葉なども、文語体の格式ばった表現が用いられます。
@頭語
1行目のトップにくる手紙の書き出しの言葉。書くときは一番上から書き始め、1字下げたりはしません。よく使われる『拝啓』は、「へりくだって申し上げます」の意味。『謹啓』は、特に丁寧にしたい場合に使い、「謹んで申し上げます」の意味。格式ばった正式な手紙には、これらの頭語を使いますが、年賀状、暑中見舞、死亡通知、お悔やみ状には書きません。
A時候のあいさつ
頭語の後、1字文あけて同じ行に続けて書くか、改行して書きます。決まりきったあいさつには、1月「厳寒の候」、2月「晩冬の候」、3月「早春の候」、4月「陽春のみぎり」、5月「新緑の候」、6月「梅雨の候」、7月「炎暑のみぎり」、8月「残暑の候」、9月「新秋の候」、10月「中秋の候」、11月「晩秋の候」、12月「寒冷のみぎり」などがあります。
B安否のあいさつ
まず相手の安否をたずねるあいさつを書くのがマナー。自分の安否を伝える場合は、その後に書きます。ここまでが一般的な前文です。
Cお礼・おわびのあいさつ
日ごろ何かとお世話になっていることへの感謝や、いつもご無沙汰していることのおわびを、前文に加えることもあります。
D起こしの言葉
ここから主文に入ります。改行して1行下げ「この度は」「さて」「ところで」「つきましては」「さっそくでございますが」などといった起辞を使い、これ以降が手紙の要旨であることをはっきりさせます。
E本文
手紙の目的の用件を述べる部分です。できるだけ簡潔に内容を伝えるとともに、失礼のない言葉遣いで書き進めます。
F今後の愛顧を願う
本文には、乱筆乱文のわびや迷惑をかけたことへのわび、後日の約束や返信の請求をしない場合には、「今後ともよろしく」という意味の、今後の愛顧を願うあいさつを入れるのが一般的です。
G結びのあいさつ
用件を書き終えたら、改行をして相手の健康や幸せを祈る言葉を入れ、最後にまた改行して「まずは御礼まで」「右、略儀ながら書面にて御礼申し上げます」「まずはご連絡まで」といった手紙の要旨をまとめる言葉を入れます。
H結語
会話のあいさつで「さようなら」にあたる言葉です。結語は頭語を受け、『拝啓』なら『敬具』、『前略』なら『早々』と受ける言葉が決まっているので、くれぐれも間違わないように。ただし、年賀状、暑中見舞、死亡通知、お悔やみ状には結語は用いません。
I日付
本文より小さめの文字で、2,3字下げて月日を書きます。
J署名
日付の次の行に、本文末尾より1字上あたりで終わるように差出人の署名を入れます。スペースがなければ、日付と同じ行に書いてもかまいません。
Kあて名
本文より下、日付より上から始まるように、やや大きめの字で書きます。便箋の最後の行に来そうな場合は、日付を結語か署名の行に書いてつめ、最後は1行あける。