「小春日和」とは、春の暖かい日差しがうららかな陽気のことだと思っている方が多いと思いますが、実はそれは間違いなのです。
小春とは陰暦十月の異称です。この時期は寒い冬を前にして、ときおり寒さがふとゆるみ、暖かい春を思わせる日が続いたりする事があるからそこで「小春日和」と言うわけで、現在で言えば、晩秋から初冬にかかる頃に使う表現です。
時候のあいさつでよく見かける「風薫る季節」「薫風」と言う言葉も、やたらに使うと恥をかきます。風は一年中吹いていますが、薫る風とは、5月の風のことです。俳句では初夏の季語ですから「落ち葉が舞い、風も薫る秋となりました」などと使うと、おかしな表現になってしまいます。
使い慣れた言葉のようでも、実は間違った解釈をしている場合もありますので、十分注意しましょう。